鍼の話色々

1回目 雨と頭痛とアオのハコで使われてたツボの話

ここ数日、梅雨らしく雨が続きますね。雨の日は頭痛がひどくて何もやりたくないー。そんな方も多いのでは?

今日は、雨と頭痛とツボの関係をかみ砕いてお話ししようと思います。



雨の日に頭痛がおこる仕組みについて

A:雨の日に頭痛がおこるのはなぜ?

Q:気圧が変わるから。


基本的に天気の変化というのは気圧の変化によって起こります。台風などがわかりやすいですが、基本的に気圧が下がると雨が降ります。

すると、人間の体は耳にある内耳という器官でその変化を察知します。

つまり



気圧(天気)が変わる

 ↓

内耳が急激な気圧の低下または上昇を察知する

 ↓

内耳が交感神経(体を緊張させる神経)と副交感神経(体をリラックスさせる神経)からなる自律神経に働きかける

 ↓

自律神経活発に働きバランスが乱れる。(特に 交感神経が活発になりすぎると痛みの神経を刺激してしまう)

 ↓

頭痛がおこる


という事態が起こります。

特に女性は月経があるため、常にホルモンバランスの変化に対応するため自律神経が働くので、天気の変化による頭痛がおこりやすくなります。



では、どういう対処ができるのか、はり灸に絡めて説明していきます。

天気による頭痛は大きく分けて2タイプあり、自律神経の乱れ方によって違いが出ます。

当然、その違いによって対処が異なります。まずは自分がどちらのタイプの頭痛か確認しましょう。


あなたの頭痛のタイプはどっち?

A:多くの場合には片側(両側なる人もいます)がズキズキと脈打つように痛む。冷やすと楽になる→片頭痛

B:後頭部が締め付けられるように痛む。お風呂に入ったり温めると楽になる→緊張型頭痛



Aの片頭痛の場合、痛みはホルモンバランスが崩れて頭の血管の拡張することで脳神経(三叉神経)に痛みが出ます。そのため冷やしたりカフェインなどで血管を収縮させるといった方法が効果的です。

一方、Bの緊張型頭痛は交感神経のみだれにより、首肩周りの筋肉が緊張し血行が悪くなることで痛みが発生するので体を温めたり運動等で血行を促すことで痛みが改善します。





頭痛を和らげるのにおすすめのツボは?

いくつかありますが、わかりやすくて使い勝手の良さから本日は百会というツボをあげさせていただきます。




百会:頭のてっぺん中央にある少しくぼんでいるツボ。



現在週刊少年ジャンプで連載中のアオのハコ10話でも、リラックスのツボとしてヒロインが主人公に押してたツボですね(と、さもご存じのように言ってますが私も患者さんから教えてもらって読みました。絵が綺麗で少女漫画っぽくて面白かったです)

漫画でも言われているようにリラックス=自律神経に非常に効果の高いツボなので、片頭痛では神経をリラックスさせるために。

緊張型頭痛では後頭部や肩周りの筋肉をリラックスさせて痛みを軽減させる効果があるので、判断に迷ってるときでも使いやすいツボです。

ゆっくりと指で10秒くらい押し、ゆっくり離すというのを繰り返してみると効果を実感できるので軽めの頭痛の時はお試しください。

尚、目の奥が痛かったり痛みがひどい頭痛の時はくも膜下出血や脳梗塞の可能性もありますので速やかにMRIのできる病院をおすすめします。



2回目 不妊治療とはり灸のお話①

さて、本日は当院でも問い合わせの多い鍼での不妊治療についてお話しようと思います。

第1回目の今日は不妊治療でも多い冷え性が原因の場合の不妊のお話です


1.体が冷えるとなぜ妊娠しづらいのか

答えは簡単。体が冷えてしまうとまず

→体全体の血行が悪くなる

→月経不順やホルモンバランスが崩れ妊娠しづらい状態になる。



2.内臓が冷える

→子宮や卵巣などの働きが鈍る→妊娠に重要な内臓が正常に働かないため妊娠が困難or妊娠しても上手く子供が育たない



といったリスクがたいへん高くなります。

とは言っても、たかが体温でそんなに差が出るのか?と考える方もたくさんいらっしゃると思います。

しかし、その答えは限りなくYesなんです。

そもそも女性の体は妊娠できない卵子を排出する時期(いわゆる生理)のときは低体温相といい、その名のとおり体温は低くなりがちです。しかし、卵管から卵子が排出される時期(いわゆる排卵期)には高体温相といい体温は上がります。

また、その卵子が無事受精した場合体温は低くなりません。

それは何故か。

答えは赤ちゃんがお母さんのお腹で育つには子宮が温まっていないと育つことが出来ないためです。

みなさんも、卵をかえすために鶏が卵を温める図や、人工的に卵を温める映像をテレビや写真で見たことはありますよね?

温められた卵は、やがて孵化して可愛いひよこが誕生します。

では、卵が十分に温められなかったら?

当然、卵は孵化することなくひよこは生まれません。

つまり、温められなかった卵と同様お母さんのお腹が冷えていると赤ちゃんは十分に育つことが出来ないのです。

また、人間は大人でも体温がたった5度下がるだけで100%死んでしまいます。

ですから、目に見えないほど小さな卵子ともなれば温度差がどれだけ重要であるかは明らかですよね。

お母さんの体温がたった1度違うだけで赤ちゃんにとってのお腹の環境は春と冬ほど違うものになってしまうんです。

その上、最近はファッションで体を冷やしている女性や、エアコンの普及により体温調節の出来ない人が非常に増えています。

その結果、妊娠しづらい女性も増えているんです。


次回に続く

3回目 不妊治療とはり灸のお話②

冷えと鍼灸の関係。


前回のお話で妊娠にとって冷えがいかに悪いものであるかを語らせていただいたので、今回はそれに対して鍼灸治療を行うとどうなるかと言う話を中心に話していこうと思います。



冷えと鍼灸治療

そもそも冷えとは要因こそ様々ですが、基本的に体の中の血流が悪くなり起こる症状を言います。

この要因は本当に様々で、また多くの患者さんが複数の要因を持っていることが多く、特定が大変困難です。

しかし、鍼灸治療は使うつぼや手法が多岐にわたるため、このような要因を特定しづらい患者さんでも対応することに西洋医学以上に長けています。

そもそも鍼灸治療は鍼(はり)によって体の筋肉の凝りを解消したり、灸によって体を温め血流はもちろん、体の中から体の状態を改善していく治療法です。

ですから、血流が悪くなることで起こる冷えとは非常に相性がよく、体を温めたり凝りをほぐしたりといった自然の治療ですので副作用の心配が全くないことも利点と言えます。




不妊治療とはり灸のお話?不妊に対するはり灸の効果


不妊治療と鍼灸

さて、ここでやっと本題、不妊に対する鍼灸治療の効果のお話です。

前回と上記の話により冷えと妊娠の関係、そして冷えに対する鍼灸治療の効果はなんとなくつかめたと思います。

ですので、ここでは冷えが原因の不妊症に対し、鍼灸がどうして効果があるのかをより細かく説明していこうと思います。


最初の説明でも言ったとおり、女性は体が冷えると



体全体の血行が悪くなる


→月経不順やホルモンバランスが崩れ妊娠しづらくなる。



内臓が冷える

→子宮や卵巣などの働きが鈍る

→妊娠に重要な内臓が正常に働かないため妊娠が困難or妊娠しても上手く子供が育たない


といった、妊娠が困難な状態になります。

しかし、体全体の血行が悪くなるといった症状は鍼灸治療を行うことにより



体の血行が悪い

    ↓      

鍼灸治療を行う

    ↓      

血行が良くなる

    ↓      

血行が良くなったことで正常に月経が来る(タイミング法の取入れが簡単に)

血行が良くなったことでホルモンバランスも良くなる

    ↓      

妊娠する確立が上がる

といった効果をもたらします



また内臓が冷えるという症状も


冷え性で内臓まで冷える

    ↓           

鍼灸治療を行う

    ↓           

血行が良くなる

    ↓           

内臓の冷えも改善する

    ↓           

子宮や卵巣など妊娠に重要な臓器の働きが活発になる

子宮の状態が良くなるため、お腹の赤ちゃんが育ちやすい環境になる

    ↓           

状態の良い妊娠


という、理想的な妊娠状態への効果が望めるのです。



最後に

妊娠は、様々な条件が重なることで起こる奇跡です。

それこそ、不妊治療を行っていてもほんのひとつのプロセスが欠けてしまうことで、生まれるはずだった生命が失われていくことのなんと多いことでしょう。

しかし、逆に言えばほんのひとつのプロセスが加わることでかけがえのない奇跡を手に入れることも夢ではありません。

ですから私は娠治療において一番重要なことはあきらめないことだと考えます。

そして、あきらめない不屈の精神を支えるのはやはり健康な体です。

昔から言うように、健全な肉体には健全な魂が宿るもの。

より健康に赤ちゃんを迎えるため、お母さんの母体をより健康にする鍼灸治療。

お気軽にご相談いただけたら幸いです。